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社会科教科書をめぐる状況

教科書問題は、歴史的に何度も繰り返してきました。

1962年の教科書検定で、家永三郎氏が執筆者である高等学校日本史教科書『新日本史』が、戦争を暗く表現しすぎているなどの理由により不合格となり、その後、教科書検定制度をめぐって長く裁判がたたかわれました。

また、1982年には、高校・小学校教科書が日本の「中国侵略」を「進出」などと書いていたことが問題となり、内外から批判が起きました。文部省(当時)は、教科書検定基準の中に「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という「近隣諸国条項」を設けました。

1990年代入り、長い沈黙を破り、韓国人元日本軍慰安婦が実名で証言・告発を行い、日本の教科書に「慰安婦問題」を記述し、次の世代に事実を伝えるよう要求しました。河野洋平官房長官(当時)は、「談話」を出し、この問題への日本軍の関与を認め、その後、教科書に「慰安婦問題」が記述されるようになりました。

その後、起こったのが、「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書攻撃です。

真実を伝える教科書を「自虐史観」だといい、侵略戦争美化、大日本帝国憲法賛美、日本国憲法敵視、神話重視の恐ろしい教科書を扶桑社から出版。全国で採択に乗り出しました。

右翼的教科書採択ねらう今年の動き

右翼教科書が歴史・公民で4冊に

「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)による扶桑社版教科書の採択率は、全国の反対運動の中で、当初0.4%でした。しかし、その後も、採択の権限を教育委員会に集中することや、改悪教育基本法・学習指導要領に基づく採択を迫る運動を続けました。「つくる会」が分裂したため、今回の検定では、自由社と育鵬社二つの会社からそれぞれ歴史と公民の教科書が出され、検定を通ってしまいました。

これら右翼的教科書の採択を目指す「日本会議」は、全国の所属議員に向け、「あなたの議会で質問・決議をお願いします」という質問メモを送り、議会質問を要請しました。福岡県議会では、今年の6月議会、自民党代表質問で、教育問題の大部分を教科書問題に割き、日本会議の要求どおりの質問を行いました。

北九州市でも議会請願

北九州市議会には、日本会議北九州支部から、「自由社または育鵬社の歴史・公民教科書を採択するよう措置していただきたい」という趣旨の請願がだされました。自民党20名が紹介議員となりました。

「子どもと教育のために手をつなぐ会」では、すぐに、この請願を採択すべきでないという陳情を議会に提出し、7月7日には、双方の口頭陳情が教育・水道委員会で審議されました。

「手をつなぐ会」は、次の四点を主張しました。結果、日本会議の請願は採択されませんでした。

  1. 二社の教科書の歴史観は到底受け入れられず、義務教育用教科書としてふさわしくない
  2. 二社の教科書は誤字脱字、誤記などが数多く指摘されており不適格である
  3. 教育行政は首長から独立した教育委員会が責任を負っており、議会が特定の教科書を採択するよう働きかけることは、不当な介入である
  4. 教科書採択は、現場教師や父母市民の意見を尊重し、公正中立な意思決定を行うべきである

「手をつなぐ会」では、教育委員会に対して、二社の教科書を採択しないよう求める請願を出し、はじめて、口頭陳情も行いました。教科書採択に関する審議を全面公開させることができ、透明度を高める意味でも前進を勝ち取りました。

全国でまさかの採択

ところが、全国では、思わぬ事態が広がっています。

栃木県太田原市で育鵬社版歴史と公民、神奈川県藤沢市と横浜市で育鵬社版歴史と公民、大阪府東大阪市で育鵬社版公民、東京都立中高一貫校(10校すべて)で育鵬社版歴史と公民、都立特別支援学校で育鵬社版歴史と自由社版公民、神奈川県立平塚中等教育学校で育鵬社版歴史、東京都大田区と武蔵村山市で育鵬社版歴史と公民が採択されました。(8月23日まで)その後も、山口県岩国市、香川県の3採択区、沖縄県八重山でも採択のニュースが続いています。

現在、撤回のための運動が各地で取り組まれています。

子どもたちに「あぶない教科書」を手渡さないために

これら教科書の内容は、本当にひどいものです。自由社、育鵬社の教科書がまだ手に入らないため、その前身である扶桑社の歴史教科書の一部を紹介します。二社の教科書は、これを引き継ぎ、さらに競いあうように改悪しています。

神話に関する記述

太平洋戦争を美化

自由社の歴史では、神話の項で「アマテラス大神は太陽を神格化した女神で、日本の最高神であり、皇室の祖先とされている」と書いています。育鵬社の歴史で日本軍の東南アジア占領を「戦争初期のわが国の勝利は、東南アジアやインドの人々に独立への希望をあたえました。長く東南アジアを植民地として支配していた欧米諸国の軍隊は、開戦から半年で、ほとんどが日本軍の手によって破られました」とあからさまに戦争を美化しています。

さらに、日本国憲法について、育鵬社の歴史は、「GHQは、日本側の改正案を拒否し、自ら全面的な改正案を作成すると、これを受け入れるように日本側に強く迫りました。天皇の地位に影響が及ぶことをおそれた政府は、これを受け入れ・・・他国に例を見ない徹底した戦争放棄・・・この規定は・・・多くの論議を呼ぶことになりました」と憲法(特に九条)を敵視しています。

3・11の原発事故を受け、各教科書会社は、その危険性を強調していますが、この二つの教科書は、原発を礼賛し、危険性にほとんどふれていません。

これほど問題だらけの教科書が、検定を通り、採択され、これまでになく多くの子どもたちの手に渡る。背筋が寒くなる思いです。

日本政府が真摯に侵略戦争に対する反省を行っていないことが、教科書問題を引き起こす土台です。侵略戦争を事実として伝える重要性はますます大きくなっています。子どもたちに真実を伝えるために、国民的な運動を起こす必要があります。

7月29日、北九州市教育委員会が開かれ、来年度中学校で使う教科書が決定しました。

全国的に大問題となっている歴史、公民教科書では、侵略戦争美化・憲法敵視の「自由社」「育鵬社」の教科書が採択されるのではないかと大変心配しました。北九州市議会に「日本会議」から「自由社・育鵬社の教科書を採択するよう措置されたい」という請願が出されるなど、これまでにない動きがあったからです。

私は、7月22日に続き、29日の教育委員会も傍聴しました。歴史は日本文教出版、公民は教育出版に決定 し、ほっとしたところです。

今回、「つくる会」が分裂して、2つの出版社からそれぞれ歴史、公民の「危ない教科書」が出されました。

北方小学校に教科書展示を見にいき、社会科教科書を見比べましたが、問題の2社4冊の教科書は、恐ろしい中身だと思いました。

神話が地の文に書かれていて、イザナギ・イザナミが実在の人物のような印象を受ける記述、韓国併合などを正当化、「大東亜戦争」という言葉を使い、戦争は、アジア解放のための正義の戦争だったと描きます。日本国憲法を敵視し、特に9条の平和条項について、「世界に例をみない」と否定的に強調します。

このような教科書は子どもたちに渡せないと、教育委員会と懇談し、申し入れ、陳情などを行ってきました。北九州市では、これら教科書を阻止することができました。

その他教科の教科書一覧
「30人学級と私学助成の拡充を求める請願」39万署名の前であいさつする県議時代のたかせ

2009年の総選挙では、思いがけず教育課題が各党の公約として大きく取り上げられました。「高校授業料無償化」「給付制奨学金の創設」「少人数学級」―私たちが長年取り組んできた教育要求が、それを阻んできた政党の公約となりました。

政権が交代しましたが、民主党は肝心要の問題で国民を裏切り、今年の参院選で政権党として厳しい審判を受けました。その民主党が「高校無償化」については予算をつけ、今年4月から公立の授業料無料化と私学への支援金支給を実現しました。そして、この夏、実に三十年ぶりに学級規模の引き下げを打ち出したのです。

私は、民主党の政権運営の右往左往ぶりを見るにつけ、この教育課題の前進は、私たちの長年にわたる国民運動の背景があってのことだと確信するのです。私たちが国に提出した署名は、3億筆を超えています。毎年毎年、地を這うようにして集めた署名、時には「何にもならないじゃないか」とため息をつきながら集めた署名が、今、巨大な力を発揮しようとしています。

文部科学省の「少人数学級計画案」は、

  1. 2011年度に小学校1,2年生を35人にし、12年度から毎年1学年ずつ35人学級にする
  2. 中学校は14年度から順に毎年1学年ずつ、3年間で全学年を35人学級にする
  3. 2017〜18年度で、小学校1,2年生を30人学級にする
というものです。問題は、学級増に見合う正規教員を増やすことができるかどうか、です。今、都道府県や市町村で取り組まれている少人数学級は、教員増を伴わないか、非正規の雇用なので、現場の負担は大きく、非正規教員の身分も不安定です。これでは、行き届いた教育とはいえません。

今年の署名は、動き出した「少人数学級」を真に実のあるものとするための重要な取り組みとなります。私学助成では、37道府県が国の支援金に積み増しをして私学授業料の無料化を実現していますので、福岡県でもその実現を迫る力にしなければなりません。がんばりましょう!


30人学級と私学助成拡充の署名スタートにあたって、、北九州子どもと教育のために手をつなぐ会の会報「手をつなぐ」に投稿したものを転載しました。

新日本婦人の会小倉南支部の親子リズム合同体験会が開かれ、そのあと県政についての「つどい」を行いました。若いお母さんと元気な子どもたちが集まって、子どもの医療費の無料化のこと、高校授業料無償化や奨学金制度の充実などお話しました。かわいい子どもたちが「うんうん」とうなづいて聞いてくれました。

子どもの初診料の無料化は、リズムのお母さんの声から運動が始まり実現しました。5年がかりで、私も何度も本会議で知事に直接質問し、訴えたのです。子育て真っ最中のお母さんの声こそ、政治を動かします。

「不妊治療にお金がかかりすぎるので、保険が利くようにしてほしい」との要望も出されました。これについては、私が議員のとき、「不妊治療に保険適用を求める意見書」を提案し、珍しく全会派一致で採択されたことを伝えました。その後、一時金が支給されるようになりましたが、わずかなので、保険適用を急がせることが大切です。

貴重なご意見ありがとうございました。

福岡県でも私学授業料の無償化を

投稿: 2010年07月30日 | カテゴリ: 子どもと教育

37道府県で私学の授業料が無料に

2010年4月からの「高校無償化法」で国は公立校の授業料は徴収せず、私学の生徒には就学支援金を支給することにしました。これに伴い、国の支援に加え、私学への補助を独自に行うことで、私学についても全額無料化を37道府県で実現しました。

福岡県でも私学授業料の無料化を

福岡県は、高校生の4割が私学に通っており、その割合は全国でも非常に高く、私学授業料の無料化は切実な課題です。県立高校が少ない分、高校教育への県の支出は少ないわけですから、私学への補助金を手厚くするのは当然です。経済的な理由で高校を中退する生徒、修学旅行をあきらめる生徒もいる中、全国で広がった私学授業料の無料化をぜひとも福岡県で実現させましょう。

積み上げられた30万筆を超える署名

2009年12月の県議会に出された「30人学級と私学助成の拡充を求める」請願署名は、今回も30万筆を超えて集まりました。私学の先生や子育て中のお母さんの訴えは、例年にもまして切実でした。国政を大きく動かしてきたこの署名運動。

しかし、県議会での紹介議員は日本共産党の真島さんだけです。ムダなダム建設をやめれば、教育予算は大幅に増やせるというのに。まっすぐに市民の願いを議会に届けられる日本共産党、まさに出番です。

新婦人のみなさんと団体署名を提出

「コンタクトが高くて、負担が大変です。何とか援助が受けられないでしょうか」

母子家庭のお母さんの切実な声が届きました。保険がきかないため、めがねやコンタクトの負担は大きく、全国的にも、視力が0.06でもめがねをもってい子どもがいるなどいないなどの報告もあります。

子どもたちのめがね・コンタクトに保険適用を求め、また、就学援助などで自治体が支援を行うよう求める請願を新日本婦人の会(新婦人)の皆さんと議会に提出しました。

「30人学級でゆきとどいた教育を」「教育予算の抜本拡充を」と訴える

行き届いた教育のための30人学級の実現、私学助成の拡充、教育費の無償化をめざす「教育署名」が今年も始まりました。10年以上になるこの署名活動が、ついに総選挙で教育課題を争点に押し上げ、今大きな変化を作ろうとしています。

しかし、新政権の概算要求に、30人学級の予算は見当たりません。草の根の運動で子どもの貧困をなくし、行き届いた教育を実現させましょう。

NHKの「子どもの貧困」特集番組で、フィンランドの教育が紹介されました。鉛筆や消しゴムに至るまで国が保障し、わからない子どもには、わかるまで教える体制を作り、塾に通う子どもはいないとのこと。母子家庭の母親が「教育を受けることに全く不安はない」とコメントしていて印象的でした。

日本の教育予算は、あまりにも貧しすぎます。OECD諸国の中で最低レベルの教育費をせめて平均にまで引き上げ、貧乏だから学校に行けない子どもをなくしましょう。

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