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安倍政権の「教育再生」政策

第一次安倍政権のとき、教育基本法に「愛国心」を書き込むなど、強引な変更を行いました。その後、この「改正」教育基本法をてこに、安倍政権の「教育再生」政策が推進されています。

この間の中心的なテーマは、新学習指導要領と道徳教科書の検定です。中学校体育の武道に銃剣道を追加明記して、3月31日に官報告示した新学習指導要領は、1948年の指導要領「試案」から7回目の改定となりますが、道徳を教科と位置づける史上最悪の指導要領です。

教育勅語をめぐって〜議会論戦から〜

科学的な系統性を持たない「道徳」を教科とすることは、子どもたちの心を評価し、一方的な価値観を植えつける危険性があります。そんな中、森友学園・塚本幼稚園での園児による勅語暗唱がセンセーショナルに報道され、大問題となりました。ところが、政府は教育勅語暗唱について「問題ない」と答弁し、教材としての使用を閣議決定しました。

これを受けて、福岡県議会6月定例会の代表質問で、自民党は、「教育勅語は学校教育でどのように扱われているか」と質問、また教育勅語の徳目について「いつの世にも変わらぬ大事な徳目や考え方は変えるべきものではない」と主張し、来年4月からの小学校道徳教科化を踏まえ、「このような大切な徳目もしっかりと踏まえ、道徳的価値を自分のこととして理解し・・・適切な対応を要望する」と発言しました。

教育長は、中学高校の教科書に教育勅語の記述があり、その際に学習をしているとし、取り扱いについては「児童生徒の心身の発達に即し、憲法や教育基本法の定める教育の目的等に反しないような適切な配慮のもとに行われるよう指導してまいる」と答弁しました。

私は、この後の一般質問で、

  1. 教育勅語は、天皇がその臣民に道徳を与えたものであり、現在の主権在民の社会と相いれない
  2. 徳目は「一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」に収れんされる
  3. 徳目も家父長制、男尊女卑の下でのものであり、「妻はもともと知識才量多くは夫に及ばざるものなれば、・・・夫が無理非道を言わざる限りはなるべくこれに服従して貞節を守り・・・」と解説されているなど現在の価値観とは相いれないもの
  4. 1948年6月に衆議院、参議院で排除・失効決議が採択されている

ことを強調し、教育勅語の肯定的使用は認められないと質問しました。教育長の答弁は自民党に対する答弁と同趣旨でした。自民党も教育基本法をよりどころにしているだけに、きっぱりと否定せず、このような玉虫色の表現がされることに危機感を覚えます。道徳教科化の中で、教育勅語の肯定的な使用をされることがないよう監視しなければなりません。

道徳教科書検定「教育出版」の問題

道徳の教科化によって、戦後初めて教科書検定が行われ、「パン屋を和菓子屋に」「アスレチックを和楽器の店に」書き換えが行われたことをマスコミも大きく取り上げました。不自然な記述となっても「日本の伝統」を強調し優先させることが、国家主義的愛国心へとつながる危険を感じます。

検定合格したのは、8社66点。初めての検定なのでどの社も横並びで同じ教材も多用されています。その中で、異様な内容を含むのが「教育出版」です。

教育出版では、

  1. 2年生「国旗・国歌」が大きく取り上げられ、「君が代」の歌詞の説明が「日本の平和が長く続くようにとの願いだ」と虚偽の説明が書かれ、斉唱時の起立・礼の行動まで写真入りで指示
  2. 5年生「下町ボブスレー」で安倍首相の写真を使用。現職政治家の教科書掲載は、検定基準にも反し、教育の中立性を侵す重大な問題
  3. 道徳のお手本をするべき人物として、経済界の成功者(渋沢栄一、豊田喜一郎、松下幸之助など)を多く掲載。検定で禁止されてきた特定企業名の掲載

など問題が指摘されています。

では、なぜ教育出版の教科書でこのような問題が起こったかといえば、侵略戦争を美化した中学校歴史教科書(育鵬社)の執筆者が、教育出版の道徳教科書の執筆者に名を連ねているのです。改憲右翼団体「日本会議」とも通じる「日本教育再生機構」のメンバーが教育出版の監修編集に携わり、「あの戦争は正しかった」という認識の上に、道徳教育を展開しようとしています。まさに、「戦争ができる人づくり」を周到に進めているといわなければなりません。

県下の教科書採択結果一覧は次のとおりです。残念ながら、3つの採択区で「教育出版」が選ばれました。採択の基準を明確にさせることや教育出版教科書の問題点を指摘することが求められると考えます。来年度は、中学校の道徳教科書採択の年です。 憲法を守りぬくとともに、「戦争ができる人づくり」を許さない運動がいっそう重要です。

道徳教科書採択.png

「教育勅語」の肯定的使用 許さない!

6月議会の論戦が始まろうとしています。6月13日行われる自民党の代表質問項目に「教育問題 教育勅語の取り扱い」とあります。安倍政権が教育勅語の学校現場での使用を容認する閣議決定を行ったのを受けて、福岡県の学校現場でもその使用を求めることが予想されます。

私は一般質問で、教育勅語の内容・果たした役割・戦後衆議院と参議院で排除・失効決議がされたことなどを指摘し、教育勅語を肯定的に教えることは許されないと主張し、教育長の見解を問います。報告は後日行います。

国会では、共謀罪法をめぐり緊迫した情勢です。安倍首相は森友・加計学園問題で政治を私物化した疑惑には応えず、2020年までに憲法改悪を行うと言明しました。立憲主義・民主主義を踏みにじり、法治国家としての体さえ危うくしている現状の中で、着々と「戦争ができる人づくり」を進める安倍政権に恐怖を覚えます。

道徳の教科化は「忖度」教育にならないか

新指導要領に道徳の教科化が盛り込まれ、時をおかず教科書採択が行われようとしています。そもそも科学と対応していない「道徳」を教科にして、心を評価するということは、教育の現場であってはならないと思うのです。

25年以上前に、「関心・意欲・態度」をABCで評価することが強制されたとき、職員会議が大激論になりました。

「学習の到達度ではなく、『心』を取り出して評価することはできない」「何を指標にするのか」と。先生方の剣幕に校長はいったん評価しなくていいと言いました。しかし、教育委員会の強力な指導で「すべてBでいいから」と導入され、やがてABCがつけられるようになり、入試にも直結するようになりました。

親に説明できる客観的指標を作るため、教師は発言回数、提出物など何でもチェックし数値化するようになり、生徒は教師の意向を「忖度」するように仕向けられたと思います。

道徳の教科化は、これをさらに助長するものになると危惧します。

偏狭な愛国心の植え付けでなく「みんな違ってみんないい」の教育を

初めて採択される道徳教科書。パン屋が和菓子屋に書き換えられるなど、その異様さにマスコミも注目しています。

「ただしいあいさつ」(教育出版1年)という教材では、あいさつとお辞儀のタイミングを3択で問い、正しいあいさつの仕方があると教えます。これでは「正解」を探す子どもを育て、一方向に子どもを導くことにならないでしょうか。

「みんな違ってみんないい」「だれの命も大事」そんなメッセージを伝えることが日常の中の道徳教育だと思います。道徳教科書の展示会で意見を発しましょう。

子どもと学校を苦しめる学力テスト

投稿: 2016年12月12日 | カテゴリ: 子どもと教育

国の学力調査に10年間で368億円!

県議会の決算特別委員会で「学力テスト・体力テスト」について質問しました。

「全国学力・学習状況調査」(以下『学力テスト』)は、2007年から始まり、10年が過ぎました。途中2011年だけ震災で中止になりましたが、9回実施され、その総額は367億円です。小学校の受注業者はすべて、個人情報を大量流出させたベネッセコーポレーションです。さらに、福岡県実施のテストが同じ10年間で3億円。そしてさらに、すべての市町村が独自予算で業者テストを行っており、まさに、学校は業者テストの嵐です。

国が都道府県別の平均点を公表することから、各都道府県の競争が激化し、市町村教育員会も、平均点を上げるための取り組みに血道をあげています。結局、点数を上げる近道は過去の問題を繰り返すこと、となり、過去問を繰り返す取り組みが全国で行われているわけです。

授業をつぶして過去問は「不適切」

学校現場からは、異常な「過去問」対策で、子どもたちも学校も悲鳴を上げている実態が寄せられました。

過去問50ページが、突然教育委員会から送られてきて、それを印刷、問題を解く時間が足りないので、学力テストに関係のない学級会や家庭科、図画工作の時間をつぶして過去問、過去問。終わらない分は宿題。しかし、複雑なB問題を解くのには時間もかかるし、できない生徒もいます。わからない問題を次々とやらされて、真面目な子どもが「僕、バカやけ」と泣き出したという話も聞きました。1人1人の学力を知るといいながら、やっていることは画一的な過去問の押しつけです。

過去問対策に「行き過ぎた取り扱いはない」といっていた県教委も、「学校において過度に競争が認識され、単に学力調査の数値データの上昇のみを目的とした行き過ぎたテスト対策の授業等が行われるとすれば、本来の調査の趣旨・目的を損ない、不適切である」と答えざるをえませんでした。

学力体制の見直しを! 学力をいうなら少人数学級こそ!

全国学テストは、どこの国でも

  1. カリキュラムが硬直化しテスト準備教育に偏重
  2. 全国学テスト結果というピンポイントの限定的な評価が「学力」として独り歩きし国民に共有され国民の学力観がゆがむ

という点が指摘されています。学力をいうならば、少人数学級こそ。テストの予算は教員を増やすために使え、と声を大にして言いたいと思います。

「学校統廃合と小中一貫教育を考える」全国交流集会が2月に大阪で開かれ、初めて参加しましたが、大変刺激を受けて帰ってきましたので、その報告をしたいと思います。

各地の小中一貫校は統廃合計画とともに突然浮上して強行されるというのが特徴のようです。

そんな中、アメリカ、シカゴで「学校統廃合、学力テスト反対」の運動を行っているサラ・チェンバースさんが特別報告。「新自由主義がどのように私たちの学校を壊し、草の根の運動がどのようにそれにストップをかけているか」について話されました。

「シカゴの小学2年生のアンジェラは、1年間に19回の学力テストを受けさせられました。そのデータは学校を閉鎖するために使われるのです。近くの学校がなくなり、アンジェラは3マイルも歩いて学校に通っています。」と話し始めたサラさん。

シカゴ市長は2012年に、なんと100校の学校閉鎖計画を発表、これに対し、教職員組合はストライキで対抗します。教員と保護者を中心に3万人の集会を成功させ、100校のうち50校を守ったのです。しかし、残り50校は閉鎖かチャータースクールにかえられたといいます。学力テストの結果が低い低所得層の学校閉鎖に利用されます。チャータースクールとは、公設民営の学校で、教師は免許を持たなくてもよく、組合はなく、教育とはいえないとサラさん。

学校を復活させる運動と、学校つぶしの元凶の学力テスト反対の運動に果敢に取り組むシカゴでは、本人が拒否すればテストは受けなくてもよいという合意を教育委員会との間でつくり、サラさんの学校では80%の生徒が拒否しているとのことです。

集会でのコールは「Whose school?」(誰の学校?)「Our school!」(私たちの学校)。

「新自由主義は公教育をつぶす、たたかわなくてはどこまでもつぶしにくる」とのサラさんの言葉、重く響きました。

問題だらけの福岡の教員配置

投稿: 2016年04月15日 | カテゴリ: 子どもと教育

はじめに

2015年からの論戦をまとめたパンフレット「福岡の先生が足りない」に関心を寄せていただいています。2015年春に2議席を回復し、すぐに各地の教育関係者から「先生が足りない」「講師を探しているけど、みつからない」という声をいただきました。

さらに、現役大学生にまで臨時免許を出しているということが、マスコミで報道され大問題となりました。2015年7月の予算特別委員会、12月議会一般質問でこうした問題を取り上げ、パンフレットにまとめました。このパンフは、県内すべての小中学校・特別支援学校に送り、合わせてアンケートもお願いしています。

現役大学生にも「臨時免許」

深刻なのは、慢性的な教員不足です。現役大学生を含む臨時免許の交付は、昨年度、小学校135人、中学校151人、特別支援学校56人、合計342人にも及びます。

「臨時免許」というのは、小学校の先生に中学校で授業させたり、専門外の教科を担当させたりする際に、校長と教育委員会の判断で交付するものです。この数字は、元教師の私でも驚くほどで、一部地域ではなく、県内全域で交付されていることが特徴です。

さらに、これだけの「臨時免許」を交付してもなお、必要な教員が配置されておらず、先生が来ないまま、4月のスタートを迎えた学校は、2015年度、小中特別支援学校で77校、中学校の教科欠は21校に上ります。5月1日時点でも配置できなかった学校が40校、中学校教科欠は11校残されました。

必要な教師が配置されない学校現場では

義務教育学校の教師は、クラス数に応じて配置されることが法律で定められています。ところが、その定数が配置されないまま、学校運営を行っているため、驚くべき事態が起こっています。

教科欠の中学校で、当該教科の定期考査ができない。仕事量が多く、病気になる教師が増える。非正規の講師が担任をしているが、講師が病気になった場合には代替教師が配置されない。9月に講師の担任が倒れ、12月になっても担任がいないまま。担任が病気休暇をとったので、教務が代わりをしていたが、教務が過労で倒れた。医師からは6か月休むように言われたが、代替講師が見つからないので、迷惑をかけられないと無理して復帰した。などなど枚挙にいとまがないのです。

苛酷な教育現場で働き続けられないと早期退職者も激増しています。2010年382人、2011年331人、2012年445人、2013年435人、2014年315人、5年間で2000人近くが早期に退職しています。免許も経験もある教員の早期退職は、教員不足に拍車をかけています。

子どもと教員に与える影響

福岡県の正規教員は、1人当たりの週担当時間が小学校で特別に多く、全国1位です。1学級あたりの児童数、生徒数も全国ワースト7位です。

そのうえ、必要な教師が配置されていないのですから、子どもたちに向き合う時間は当然少なくなくなります。教育の基本である子どもたちとのかかわりが十分にできなくなれば、教育の達成感や充実感も奪われるのではないでしょうか。

こうした土壌は、病休者を生み、病休者のカバーをすることで、次の病休者を生むことにつながる悪循環です。もともと講師不足の学校現場では、代替講師が見つからないこともあります。

これでは、子どもたちに最低限の授業の保障さえ、されていないということです。福岡の教育は、まさに崩壊の危機にあると私は考えます。

特別な支援を必要とすることどもたちの激増

今、学校では特別支援教育のニーズが高まっています。特別支援学級数は、この10年間で倍増し、小学校ではクラス数で2倍、児童数で2.6倍、中学校では、クラス数で1.9倍、生徒数で2.3倍です。

さまざまな支援を必要とする子どもたちが増える中、そのための専門教師の配置と教員数の確保がいよいよ重要な課題です。

ところが、教師が全く足りない状態で、経験のない講師が特別支援学級の担任になったり、特別支援学校の非正規率が50%近くであったりと、不十分な状態が続いています。学習権の保障、専門性の確保という観点からも重大な問題です。

なぜ、このような事態に

いったい、なぜこのような教員不足が起こっているのでしょうか。その大きな原因は、正規教員を採用せず、非正規雇用に頼ってきたということができます。

文科省が出したランキングで、福岡県の非正規率は、12.7%、全国ワースト2位となっています。1位は沖縄の14.4%ですが、人口500万人以上の大きな県では福岡がダントツの1位です。小学校の教員16,221人のうち、非正規は2,932人、中学校の教員9,213人のうち、非正規は2,102人にものぼっています。当初から不安定な身分の講師が5,000人も必要なわけです。

さらに問題なのは、5,000人を超える非正規教員を入れても、定数ギリギリしか配置されていないということです。

例えば、東京都では、退職教員が望めば、最後の勤務校や自宅近くの学校で働いてもらう独自の制度があります。法律で定められた定数よりも多く教師が配置されているのです。病気休暇をとっても年休をとっても、安心して代わりの先生が授業をしてくれる体制があります。

ところが、福岡県では、非正規を入れても定数ギリギリですから、全く余裕がありません。福岡が定数ギリギリの100とした場合、東京は106.7、全国平均が101.5、福岡県は、この指標で全国42位です。

喫緊の課題としての病休代替制度の改善

問題だらけの福岡の教員配置ですが、特に深刻なのが、病休代替制度が全国に比べて大変遅れていることです。

病休者が出た場合に、全国的には、常勤講師を配置するのが当たり前です。ところが、福岡県では、非常勤講師しか配置せず、その時間数が極めて不十分です。

小学校の場合、担任の先生が休めば、30時間分の講師が配置されます。しかし、30時間では午後3時頃には帰るため、担任はできません。教務など他の教師が担任を兼務し、30時間講師は授業やさまざまな仕事の手伝いということになります。中途半端で結局周りの負担は大きくなります。

中学校はさらに深刻で、例えば担任で20時間の教科を持っているとすると、担任として受け持っている道徳などの時間数は考慮されず、教科の時間数の一部分しか講師が配置されません。国語の授業を1クラス4時間で5クラス受け持っていても、12時間分しか講師は配置されないとなると、あとの8時間は学校内部で担当しなければならないシステムです。

これは、どう考えても不合理で不可能です。もともと手一杯担当しているのに、他の学年から時間割をぬって授業に行かなければならないため、どうしても自習が多くなるわけです。子どもたちに対しても教師に対しても全く無責任な制度です。

現場の苦しみをさらに深刻にしている病休代替制度を改善したいと、全国調査を行いました。

その結果、病休代替が非常勤対応になっているのは、小学校では、東京、神奈川、福岡、中学校では、東京、神奈川、千葉、福岡であることがわかりました。

東京は前述したように、定数以上の独自配置を行っています。神奈川県はどうかというと、小学校の対応は福岡と同じ30時間、中学校は時間数に応じて、となっており、担任の場合は30時間配置とのことです。比較すれば、福岡よりも神奈川の方が手厚いということになり、福岡の代替制度は「全国最悪」であると断じざるをえません。

この事実を、12月議会で取り上げ、他県のやり方を検討するとともに、知事には予算措置を行うよう強く求めていました。新年度、中学校の病休代替制度が改善されました。これまで教科時間の一部しか配置しなかった非常勤講師を授業時数100%カバーするようになったのです。

わたくしが現職のころから実に30年以上にわたってかわらなかった制度を一歩ですが、前進させることができました。北九州市のある校長から「校長会で歓声が上がりましたよ。議会で取り上げてくれたんですね。大宣伝してください。」といわれました。現場職員に喜ばれ、教育条件の改善につながったことは、この上ない喜びです。

正規教員を増やし、少人数学級で行き届いた教育を

正規教員を増やし、少人数学級を実現することは、特に遅れた福岡県の教育をよくしていく鍵だと考えます。

児童・生徒一人当たりの教育予算は、小学校で全国ワースト6位、中学校で全国ワースト9位です。

ダムなど無駄な開発に税金をつぎ込むのでなく、子どもたちの教育のためにこそ、まず大切な税金が使われるよう、これからも頑張ります。

教育に「臨時」はありません。

学校統廃合と小中一貫教育

投稿: 2016年02月15日 | カテゴリ: 子どもと教育

北九州の学校つぶし計画

北九州市の「学校規模適正化」=学校統廃合計画について出前講演を聞きました。2014年策定の新基準では、適正規模は小学校で12から24クラス(1学年あたり2から6クラス)、中学校で9から24クラス(1学年あたり3から8クラス)となっています。1クラス40人の学級規模は見直さず、また、急増している特別支援学級については全く言及していません。

2015年11月に出された北九州市公共施設マネジメント実行計画(素案)には、今後、40年かけて順次、学校統廃合により47校が閉校した場合、延床面積は約23%減少します。とあり、学校統廃合で公共施設削減をすすめようとの計画が示されています。

行き届いた教育のために学級規模を1クラス30人以下にという、国民的な願いには背を向けたまま、学びの場が「マネジメント」という名で切り捨てられようとしていることに憤りを禁じえません。

福岡県内ですすむ学校統廃合―てこにされる小中一貫校

先日、香春町の教育長を訪ねました。香春町では、町内の4つの小学校と2つの中学校を一つにして小中一貫校をつくる計画が進んでいます。この計画は「行政改革大綱」の提起で始まっていました。教育的観点からではなく、行革の一環として進められている典型的な例です。

県内には、施設一体型小中一貫校が届けられているだけで、7校あります。宗像市に2校、飯塚市、田川市、八女市、東峰村、赤村にそれぞれ1校です。県は、統一的な方針をつくる予定はないとしており、計画は市町村に丸投げされている形です。十分な教育的検証もしないまま、また法制化される前から、小中一貫の統廃合は行われました。重大な教育システムの変更であるにも関わらず、国・県は市町村まかせにしてきました。

「小規模校存続の場合の教育の充実について」国の手引きで言及

2015年1月にだされた公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引〜少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて〜には、適正規模や通学距離など統廃合の目安とともに、「小規模校を存続させる場合の教育の充実」「休校した学校の再開」など、学校統合を選択しない場合の政策についても詳しく言及しています。まち・ひと・しごと創生法の観点からも、まちづくりにおける学校の果たす役割は重要だからだと思います。

2015年の決算特別委員会でこの点を教育長に質し、小規模化した小中学校の統合については、市町村、地域住民の判断であること、学校を残す場合の配慮は手引きに従って行うことを確認しました。

私たちの財産である「学校」を生かすよう、世論を広げましょう。

2015年4月から「子ども・子育て新制度」が実施されます。

これは子育て世代のみなさんが求めている待機児童の解消、保育所(園)の質の向上を理由に、企業による施設運営、設置基準の緩和を認めるというものです。また財源は、「社会保障・税の一体改革」の一環として消費税の増税分で進めるというものです。

現在北九州市では、9月議会に提案する新制度実施にむけた条例の内容についてみなさんの意見を募集しています。条例が、少しでも子育て世代の願いに寄り添ったより良いものになるように、みなさんのご意見、思いをパブリックコメントとしてあげてください。

詳細は北九州市のウェブサイトの子ども・子育て支援新制度の実施に伴う条例制定等についてをご覧ください。


募集している意見

  • 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準
  • 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準
  • 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準
  • 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準

様式は自由です。字数の制限もありません。

募集の期間

2014年6月20日(金曜日)から7月15日(火曜日)まで

提出の方法

  • kod-katei@city.kitakyushu.lg.jp
  • 803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号 北九州市子ども家庭局子ども家庭政策課
  • FAX 093-582-0070(子ども家庭局子ども家庭政策課 宛)
  • 市役所(11階子ども家庭局子ども家庭政策課または1階市民文化スポーツ局広聴課)または各区役所総務企画課

日本共産党は「公的責任を後退させるな」「現行制度の基準を守れ」「認可保育所の増設」を一貫して主張してきました。日本共産党の子育て支援については以下をご覧ください。

小中一貫校が各地で急速に広がっています。小学校5校と中学校2校を一つの学校にしたなど、その規模の大きさも驚くほどです。

学校が統廃合されるときに、行政が必ず強調するのが、「人数が少ないと競争がないから、学力がつかない」ということです。親の方も、「切磋琢磨しなければ、育たないのでないか」などと考えてしまいがちです。

しかし、本当にそうなのでしょうか。小規模校と大規模校の問題を考えてみたいと思います。

無駄な時間の多い大規模校

私が新採教員として赴任した中学校は、1学年15クラスの大規模校でした。校庭と中庭に7クラス分のプレハブ教室がたてられ、狭い運動場は、さらに狭くなっていました。国語の授業に行くのは4クラス。学年全員の顔と名前を覚えるのは至難の業です。

全校朝礼や生徒総会などで体育館に並ぶだけで、20分も30分もかかったりします。運動会は学校でできず、陸上競技場で行いました。走るばかりの競技で、しかも遠くからしか見えず、手作り感はありませんでした。

部活も、4月当初は、運動場をドーナッツ状で隙間なく子どもたちが走っていました。退部者が増えないと、まともに練習できないというのが実情でした。

東京品川の小中一貫校で、運動会の種目「玉送り」をするのに、1年生から9年生(中学3年に相当)まで並ぶだけで1時間かかったと報告がありましたが、うなずける話です。

大規模校では、何をするにも意思統一に時間がかかります。限られた施設設備をみんなで使うため、常に調整が必要で、図書館や音楽室などいつも取り合いになっていました。

一人一人と向き合う条件のある小規模校

小規模校では、大規模校のこうした苦労が激減します。

次に私が赴任した2校目の中学校は、周辺の小学校5校から生徒が入学してきました。そのうちの3校は、小規模校でした。

小規模校の子どもたちは概して鍛えられてきます。掃除だって広い範囲を担当します。運動会や学習発表会などでも、ぼーっと見ている暇がないほどたくさんの仕事をこなします。学習面でも、ノートの取り方など、丁寧に育っていると感じることは多々ありました。

複式学級で育った生徒が言いました。「小学校の時は、実験道具は一人に一つだったのに、中学校では班に一つだから、遠慮していたら自分でできない」「小学校の時には、顕微鏡であらゆるものを見た。学校から持ち出して、山や畑に行って、なんでも見て楽しかった」と。小規模校の良さは、こうしたところにあるのではないでしょうか。

1学年1クラスの和歌山の高校を訪ねたことがあります。山の中の小さな学校で、野球部などありません。しかし、パソコンは一人に一台ありました。カヌーも全員分あって、川下りをするといっていました。

小規模校には、子ども一人ひとりと向き合える豊かな教育の条件があることを、もっと積極的に考えてみましょう。


この文章は「北九州子どもと教育のために手をつなぐ会」の会報に掲載したものです。

民青同盟と高校生アンケート

投稿: 2013年11月16日 | カテゴリ: 子どもと教育

高校生にアンケート

毎月、民青同盟と高校生アンケートに取り組んでいます。高校生の興味・関心や悩み、いじめや体罰の実態や考えなどを聞いています。いじめの深刻な実態を聞くこともあります。また、ボランティアに興味を持つ人が多く、健全さも感じます。社会問題では、消費税、学費、就職などをあげる人が多かったです。

秋の共育集会

小中一貫連携教育に詳しい和光大学、現代人間学部教授の山本由美先生を迎えての北九州子どもと教育のために手をつなぐ会の学習会でした。

小中一貫教育があちこちであっという間に導入され、その本質について学習する機会を持ちたいと以前から考えていたので、今回の企画は私自身もかかわってきました。80分間、山本先生にしっかり話していただき、後半は県内の状況も出し合うシンポジウムとしました。私は、コーディネーターを務めさせていただきました。

施設一体型小中一貫校の特徴

山本先生は、学校統廃合について研究されているということで、歴史的には90年代から始まる「学校統廃合第3のピーク」の中で、「新自由主義的教育改革」がすすめられ、学校選択制から小中一貫教育による統廃合が急速に広がったと解明されました。

現在100以上にものぼる施設一体型小中一貫校の特徴として、4点が挙げられます。

  1. 統廃合の方途としてつくられた
  2. 小学校段階からの選別・競争の導入、中学校文化の前倒し
  3. 教育内容の弾力化により、小学校1年生からの英語教育や地域教科などの導入(財界の教育要求の実現)
  4. 学校建設、地域再開発の拠点としての施設一体型小中一貫校(オープンスペース型校舎など似通った設計、PFIの活用など)

小中一貫校は、1998年に中高一貫校が中等教育学校として法制化され、すべての中学校を中高一貫校へとの法案準備がされ、高校無償化の動きが出てくる中で、財界がこれに反発し、高校を切り離し、「義務教育学校」を提起(1999年)したことが導入のきっかけとなりました。

2000年には、広島県呉市で、3小1中の統廃合の方途として小中一貫校が登場。文科省の「研究開発学校」となり、小中一貫カリキュラム、4・3・2制が取り入れられます。「中1ギャップ」問題も登場します。

02年から04年には、教育特区で先行的に拡大していきます。品川区、京都市、奈良市などで財界の要求を取り入れたカリキュラムづくり、中学校文化の前倒し(小学校5年生から、中間・期末テスト、制服の強制など)などが進みます。

さらに08年には、学習指導要領の規制緩和が行われ、特区を使わなくても導入が可能になります。09年に大都市が次々と全市導入を公表するなどひろがるが、一方で反対運動も取り組まれるようになったとのことです。

教職員と子どもへの影響

全国モデルの三鷹市における小中一貫校についての教職員アンケートでは、85%が批判的な回答を寄せています。理由は、次のようになっています。

  1. 教師の多忙化
  2. 子どもへの負担
  3. 市長によるトップダウンで現場の声を聞かない

では、小中一貫校は、子どもにとってはどうなのでしょう。

いくつかの問題を指摘されていますが、特に問題なのは、5・6年生が、小学校のリーダーとして成長する時期が奪われ、人間としての発達に悪影響を及ぼしていると考えられることです。

行政が必ず持ち出す「中1ギャップの解消」には教育的根拠はないこと、むしろ、中学に対する不安は、子どもの発達につながる研究成果も披露されました。

さらに、全区で小中一貫を導入している品川区で2012年に3人の子どもが自殺していること、各地で教師の過労、病休や自殺などの問題が起こっていることが指摘されました。

福岡県内で先行的に導入した宗像市でも、研究発表会を前後して教師の病休が増えているという実態があります。品川区では、不登校児も減るどころか、逆に増えており、その増加率も東京23区中で最も高くなっています。

教師の多忙化に拍車をかけているのが、中学校の先生が小学校で教え、小学校の先生も中学で教えるという「相互乗り入れ」を取り入れていることです。

小学校で専科教員を配置せず、中学校教師を兼務させようとするものですが、これは、ただでさえ忙しい学校現場をさらに複雑に忙しくして、しかも、子どもとの時間を奪ってしまいます。行き届いた教育と逆行するわけです。

小中一貫校において、不登校が増えたり、自殺が起こっている背景に、こうした多忙化があるのではないかという気がしてなりません。

行き届いた教育のために

やはり、行き届いた教育のためには、1クラスの人数を少なくし、子どもとしっかりかかわれる環境をつくることだと思います。

30人学級と教育条件整備こそ行われなければなりません。小規模校はむしろ、行き届いた教育の可能性をもっています。

経済効率を優先し学校をつぶしながら、子どもたちに学力競争を押し付け、学校も教師も子どもも疲弊させる小中一貫校について、さらに学習と監視を強め、子どもを守る立場から、声をあげなければ、と強く感じました。

教科書ネットからのメールです。

岐阜県飛騨市議会で、「はだしのゲンを教育現場から撤去せよ」と質問していた議員がいたという。油断ならない。松江市での騒ぎは収まったように見えるが、戦争の真実を伝えようとする「はだしのゲン」を敵視する動きは全国に波及する可能性もある。要チェックである。


教科書ネットからのメール

本日(2013年9月18日)、岐阜県飛騨市の市議会で「はだしのゲン」を小中学校の図書館から撤去せよ。という質問がされました。

質問した議員は、中嶋国則議員(ひだ市政クラブ所属)。

質問項目は4つ。(傍聴者に渡された資料から転記)

  1. 自虐的で過激な図書と思われる「はだしのゲン」を小中学校から撤去すべきでないか。
  2. 国旗及び国家に関する法律が制定され、学習指導要領も改訂された。現在、国歌斉唱を否定するマンガの内容についてどのように考えているか。
  3. 学習指導要領にある天皇陛下に敬愛と理解を深めることに反していますがどう考えるか。
  4. 下村博文文部科学大臣は、記者会見で「松江市教育委員会の判断は違法ではない。学校図書館では、子どもの発達段階に応じた教育配慮の必要がある」と述べられたことに対しどう考えるか。

45分間の質問時間のうち、30分以上をこの質問にあてた。

4つの質問をするまでに、

  • はだしのゲン」の5巻から10巻まで中味で中嶋議員がひっかかりを持ったところ(上記の1〜3)をひとつひとつ説明した。
  • 週刊新潮の9月5日号の「はだしのゲン」の記事を読み上げた。
  • 4つの観点以外にも、「マンガと少年犯罪との関係」について述べた。
  • 秦郁彦、中西輝政、八木秀次氏の意見を紹介し、「はだしのゲン」の記述が、間違った歴史的事実を描いていると主張した。
また、中嶋議員は、「はだしのゲン」撤去を飛騨市から全国に発信すべきであるとも発言した。

長い質問のあと教育長の答弁を求めた。

そこで、別の議員から「動議」が出された。動議の内容は、以下のとおりである。

「中嶋議員の発言は、教育基本法違反である。つまり、教育への政治的な介入にあたる。現に、松江市議会では、市民からの「はだしのゲン」に対する意見書採択について、「教育への介入にあたる」として全会一致で否決しています。議長に中嶋議員の質問の議事録からの削除を要求する」

それに対して議長は、「議事録を精査して対処する」として、議事進行となった。

教育長の答弁は、大筋以下のとおりでした。

  1. について→「撤去」すべきでない。
  2. について→マンガの内容は、戦争中という時代背景をもとにしたものである。内容についての判断は述べず。
  3. について→問題なし。現場では、指導要領に基づいて適切に指導している。
  4. について→大臣の発言に対して述べる立場にない。「学校図書館への教育的な配慮は、管理面、指導面で十分に配慮しています」

さらに食い下がって再々質問する議員。(内容は、はだしのゲン」は、子どもを犯罪者にする可能性が大きい。)に対して教育長は、以下のように答弁しました。

  • 「はだしのゲン」は、有害図書に認定されていません。
  • 私(教育長)の経験上、子ども達は、「はだしのゲン」を読んで「残虐な場面」が心に残ってはいない。「戦争の残虐さ」を感じとっていました。

(追伸)

  • 傍聴席には、中嶋議員の支援者らしき市民が4〜5名いました。
  • 保護者らしき女性が4、5名傍聴していました。
  • はだしのゲンについては、前日にも質問した議員がいたようです。(別の会派の議員)

開いた口が塞がらない

投稿: 2013年09月24日 | カテゴリ: 子どもと教育

あきれたのは、橋下大阪市長が導入した公募校長が半年足らずで次々不祥事を起こしているということ。

4月に就任した11人の市立小中学校の公募校長のうち、新たに3人がセクハラやパワハラなどの疑いがあることがわかり、半年足らずで、過半数の6人が不祥事を起こすという異常な事態になったという。開いた口がふさがらない。それでも、来年度も35人を外部から登用する方針を変えないという。

学校現場の真摯な活動を見ようとせず、とんでもない人物を教育の場に送り込む、間違っていると思います。

堺の市長選挙で、ぜひとも「維新の会」に審判をくだしていただきたい。

東京都、神奈川県、大阪府教育委員会が、文部科学省の検定に合格した実教出版の高校教科書を教育委員会と見解が異なるという理由で採択しないよう指導するというとんでもない「教育介入」が行われています。

これに対して、「『教育員会の考えとちがう教科書は使っちゃダメ!』これって許される?」という集会が開かれました。教科書執筆関係者が、見解をだされていますので、メールから転載します。安倍政権の改憲・教育破壊の動きをそのまま反映した今回に教育介入を許さない声を広げたいと思います。


以下メールから転載

執筆者の見解

事実経過

東京都教育委員会などの動き

  1. 高等学校教科書は、これまで高校現場の教師が採択希望をだし、教育委員会がそれをそのまま採択してきた。
  2. 東京都教育委員会は6月27日の定例会で、私たちの執筆する教科書を「使用することは適切でない」と議決した。その後、大阪府教育委員会や神奈川県教育委員会などでも同様の動きが生じている。
  3. その理由は、国旗・国歌法の運用に関して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と欄外注で記述していることが、それぞれの教育委員会の考え方と異なるためであるという。

本教科書の記述内容の確認

  1. 実教出版『高校日本史A 』は2011年度の教科書検定に提出したものである。その内容は本文で「国旗・国歌法」を記述した補足説明として欄外注で「国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述し、2012年に文部科学省の検定に合格したものである。
  2. さらに検定経過を補足すると、当初の検定申請本では「国会審議で明らかにした」以下は「しかし、現実にはそうなっていない」という記述であった。それに対して、文部科学省から「説明不足で誤解するおそれのある表現である」という検定意見が付されて修正の指示がだされた。以後、数度の折衝の上「しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と文部科学省の意向も受け修正したものである。
  3. 実教出版『高校日本史B』は、2012年度の検定に前年の『高校日本史A』と同様の記述で提出したもので、文部科学省から修正の指示はなく、合格したものである。
  4. したがって、この記述に関しては文部科学省もその事実を認定している。

今年の採択をめぐる動き

2014年度用教科書採択では、当初私たちが想定した新課程教科書での採択数を大きく下回る結果となった。東京都教育委員会などの措置が影響したとすれば、きわめて遺憾である。ただし、新課程教科書と旧課程教科書を総合すると大幅な減少とまではいえず、教育現場の先生方の適切な対応があったことに感謝したい。

教科書執筆にあたっての私たちの基本姿勢

  1. 私たちは高校日本史教科書の執筆にあたって、厳密に歴史研究の成果にもとづき、歴史的事実をもとに、学校現場での主要な教材である教科書の重要性を認識して記述してきた。
  2. さらに、高校の教育現場で教師が教えやすく、生徒が歴史的事実をもとに理解しやすいよう記述してきた。
  3. 私たちは、この教科書を学ぶことによって、高校生が歴史を主体的に思考し、主権者として成長できることを願って記述してきた。
  4. 私たちは、高校の現場教師の要望を受けて、教科書記述を工夫し、その改善に努力してきた。

私たちの見解

  1. 私たちは、この教科書で国旗・国歌法に関する事実を記述しているが、東京都教育委員会などは、この記述内容を自らの考え方と異なるものとして受け取っている。
  2. 文部科学省の検定に合格した高校教科書に対して、学校現場の意向を尊重してきた教科書採択のあり方を踏まえずに、教育委員会が私たちの教科書を使用することは適切でないと決めたことは前例のないことであり、子どもの学ぶ権利や教師の教える権利を侵害することになる。
  3. 東京都教育委員会などの措置によって、この教科書が高校生のもとに届かなくなってしまうことは、私たちとしては耐えがたいことである。
  4. 私たちは、今回の事態は大変遺憾なことであり、決して容認することはできない。

2013年9月18日 実教出版 『高校日本史A』『高校日本史B』執筆者一同

30人以下学級署名スタート集会

投稿: 2013年09月07日 | カテゴリ: 子どもと教育

30人以下学級署名スタート集会

今年も30人以下学級実現のための署名活動が始まりました。スタート集会が黒崎で行われました。

現在、小学校1年生のみ、法律で35人学級ですが、小学校2年生以上は法制化されていません。国は、小学校2年生について教員定数を増やし全国的に35人学級となっていますが、3年生以上は、地方の裁量で行っています。北九州市は小学校3年生までと中学校1年生で35人学級を実施しています。そのために、市独自で教員を雇用しています。臨時採用の教員の待遇は、正規教員に比べて劣悪です。

国の責任で、正規教員を増やし、全学年で30人以下学級をめざすことは、いじめの解決、どの子もわかる教育実現のためにも急務です。

民主党政権が、段階的に全学年を35人以下にするとの方針を出しすすめられていましたが、法制化は1年生で止まったままです。自民党安倍政権は、長年かけて実現した高校無償化にも所得制限を入れようとするなど教育予算を削る方向です。文部科学省の概算要求(8月30日発表)では、少人数教育の推進が柱の一つとなっており、これを後押しするためにも、今年の署名活動は大変重要です。

安倍政権の巨大開発優先、軍事費拡大路線への暴走を許さず、未来を担う子どもたちに大切な税金が使われるよう、ご一緒に声をあげましょう。

宗像市での小中一貫の取り組み

投稿: 2013年06月28日 | カテゴリ: 子どもと教育

宗像市の報告パネル

宗像市の報告パネル

北九州子どもと教育のために手をつなぐ会で小中一貫校についての「しゃべり場」に参加しました。

小中一貫の取り組みが進む福岡県宗像市の状況が報告されました。資料としてだされたパネルには小中一貫校の取り組みの推移、研究発表の時期、不登校数と病休の先生の数がまとめられています。

研究発表を前後して、先生の病休者が急激に増えており、激務になっていることが推察される資料です。 宗像市の新留久味子議員からは、「小中一貫で、子どもにとってよいことは全くないと思います。宗像の教訓を生かして、導入をやめさせてほしい」と訴えがありました。

小倉駅前で署名活動

30人学級実現と私学助成拡充の教育署名活動を小倉駅前で行いました。お天気も良く、小倉駅前ペデストリアンデッキの太陽光発電設置も終わり、多くの人が足を止めてくださいました。

この署名活動が、政府を動かし、今、小学校1年生までは法律で35人学級となりました。小学校2年生は、法制化できておらず、国と地方が予算を出し合って35人以下にしています。3年生以上はまだです。

諸外国は20人から30人学級で、一人ひとりに行き届いた教育が進んでいます。日本でも実現するよう、署名にご協力お願いします。

人権としての教育

投稿: 2012年09月28日 | カテゴリ: 子どもと教育

今回で3回目となる健和看護学院での授業。

教育について話してほしいという、大きなテーマをいただいています。しかし、時間は1時間なので、どんな講義にしようかと毎回悩みますが、結局、一番伝えたい「人権としての教育」をテーマにお話しています。

今回は、堀尾輝久氏の「教育とは何か」を読み返し、学制が始まって以来の教育に3つの流れがあることを再認識しそのことも付け加えました。三つの流れとは、次の三つといってもよいかと思います。

  1. 国家統制のための教育
  2. 産業界からの要請としての教育
  3. 人権としての教育

戦前の「お国のために死ね」という教育は、国家統制のための教育です。学校教育は、思想を一色にしてしまうのに、ある意味都合のよいシステムです。

産業界の要請というのは、資本主義経済の下で必要になる労働者の知識や技術を求める教育のことです。今も、経団連の提言にあわせて、文部科学省が教育内容を変えるということが行われています。

これに対して、自分の能力を開花させ、人間発達・自己実現のための「人権としての教育」という流れがあります。

日本国憲法、教育基本法(1947年)、ユネスコ学習権宣言、子どもの権利条約などは、「人権としての教育」の流れであり、その文章は、いづれも格調高いものです。

授業後の学生の感想にも、「教育について、こんなにいろいろな法律などがあることをはじめて知った」「難しい文章だけど、深いと思った」などと書かれていて、ふれてもらっただけでもよかったかな、と思います。

一方、理念は高くても、日本の教育実態は、諸外国と比べて、遅れているといわざるをえません。

経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中で、GDP(国内総生産)に占める教育費の割合は、3年連続で最低です。また、国際人権規約の「中等・高等教育無償化」の項目について、長年批准を「留保」(つまり拒否)していました。今年の9月11日にやっと留保撤回を決めたのです。160カ国中、「留保」していたのは、なんとマダガスカルと日本だけです。子どもの権利委員会からは、3回の勧告で「競争教育が子どもの発達をゆがめている」と強く改善を求められています。

こうした問題について、若い人たちに直接伝えられる機会は多くはなく、貴重な時間だと思っています。

ヨーロッパの国の多くが、大学まで授業料を無料にしていることや、デンマークで12歳までの子どもにテストをすることを禁止していること、鉛筆や消しゴムにいたるまで支給している国があること、などに学生の関心が集まりました。

人間を大切にする社会をつくり、お金に関係なく教育が受けられるようにすることは私のライフワークです。「自らの歴史をつくる主体として生きる」(ユネスコ学習権宣言)ための教育が実現できれば、すばらしいことです。

30人学級スタート集会と宣伝

投稿: 2012年09月15日 | カテゴリ: 子どもと教育

30人学級スタート集会

黒崎市民センターで、北九州地区の「30人学級スタート集会」が行われ、1万筆を目標に署名にとりくむことが決まりました。私は、少人数学級をめぐる現在の状況について報告させていただきました。

文部科学省は、小学校1年生については35人学級にすることを法律できめましたが、今年度とりくまれている小学校2年生の少人数学級については、制度化していません。そのため、福岡県全体で、146クラス増えているのに、国からの新たな配当は45人のみでした。担任外の先生を活用したのが92人、市町村の雇用が9人で実施されています。

文部科学省は、先日、全小中学校の35人学級を5年計画で進め、そのための概算要求したと伝えられました。少人数学級の必要性を文科省が認め推進していることは大きな変化です。これまで20年にわたってつづけてきた署名の力です。

すべての学年で制度化し、正規教員を担任として配置するよう、国に強く求めましょう。

柔道必修化は延期を

投稿: 2012年02月29日 | カテゴリ: 子どもと教育

武道必修化についての懇談

2月29日、武道の必修化について、北九州市教育委員会に申し入れと懇談をしました。

もともと武道必修化は2006年に自民・公明政権下で改悪された教育基本法を受けて、文部科学省が進めてきたものです。教育基本法は「教育の目標」に「伝統と文化を尊重し、それをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…態度を養う」ことを掲げました。

文科省は2008年3月に中学校の学習指導要領を改訂、体育の授業に武道・ダンスを取り入れ、武道は柔道、剣道、相撲の科目の中から一つを選び、1年生、2年生は必修、3年生は球技との選択になりました。

ところがここにきて、柔道の安全性が大きく問われてきました。

文科省の外郭団体である日本スポーツ振興センターが毎年発行する「学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点」の過去28年間分を名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)が分析したところ、柔道では114人が死亡し、275人が重い障害を負う事故が続いてきたことがわかりました。最近10年間の中学校部活動における死亡確率も、柔道が飛び抜けて高いことが判明しています。

NHKの「クローズアップ現代」などで、柔道の危険性が報道され、NHKや毎日新聞社説でも「柔道必修化は延期を」といわれています。北九州市内でも、お母さんたちが驚いて、実態はどうなっているのか、との問い合わせが、私のところにもきています。

この日、教育委員会は、武道の危険性について、「他のスポーツに比べて怪我や事故の生ずる可能性は高い」との認識を示しました。しかし、すでに、武道の授業は取り入れており、また、保健体育の教員を対象とした演習や実技講習を行ってきたので、4月実施は予定通り行えるとしています。実技講習は、2時間半ほどですから、教員から不安の声が上がるのは当然です。

フランスでは、子どもに教えるためには380時間の講習が必要とされており、イギリスでは、児童を保護するためのガイドラインがつくられ、「けがをするとわかっていながら技をかけることも、根性を着けるためと繰り返し技をかけることも、勝利の価値を強調しすぎることも、虐待であると定めているそうです。

日本国内の準備態勢が整っていないことは明白だと思います。

1クラス40人の指導は、かなりの熟練者でも大変です。見切り発車で、重大事故につながらないよう、声をあげる必要を感じました。みんさんはどう思われますか?

 

社会科教科書をめぐる状況

教科書問題は、歴史的に何度も繰り返してきました。

1962年の教科書検定で、家永三郎氏が執筆者である高等学校日本史教科書『新日本史』が、戦争を暗く表現しすぎているなどの理由により不合格となり、その後、教科書検定制度をめぐって長く裁判がたたかわれました。

また、1982年には、高校・小学校教科書が日本の「中国侵略」を「進出」などと書いていたことが問題となり、内外から批判が起きました。文部省(当時)は、教科書検定基準の中に「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という「近隣諸国条項」を設けました。

1990年代入り、長い沈黙を破り、韓国人元日本軍慰安婦が実名で証言・告発を行い、日本の教科書に「慰安婦問題」を記述し、次の世代に事実を伝えるよう要求しました。河野洋平官房長官(当時)は、「談話」を出し、この問題への日本軍の関与を認め、その後、教科書に「慰安婦問題」が記述されるようになりました。

その後、起こったのが、「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書攻撃です。

真実を伝える教科書を「自虐史観」だといい、侵略戦争美化、大日本帝国憲法賛美、日本国憲法敵視、神話重視の恐ろしい教科書を扶桑社から出版。全国で採択に乗り出しました。

右翼的教科書採択ねらう今年の動き

右翼教科書が歴史・公民で4冊に

「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)による扶桑社版教科書の採択率は、全国の反対運動の中で、当初0.4%でした。しかし、その後も、採択の権限を教育委員会に集中することや、改悪教育基本法・学習指導要領に基づく採択を迫る運動を続けました。「つくる会」が分裂したため、今回の検定では、自由社と育鵬社二つの会社からそれぞれ歴史と公民の教科書が出され、検定を通ってしまいました。

これら右翼的教科書の採択を目指す「日本会議」は、全国の所属議員に向け、「あなたの議会で質問・決議をお願いします」という質問メモを送り、議会質問を要請しました。福岡県議会では、今年の6月議会、自民党代表質問で、教育問題の大部分を教科書問題に割き、日本会議の要求どおりの質問を行いました。

北九州市でも議会請願

北九州市議会には、日本会議北九州支部から、「自由社または育鵬社の歴史・公民教科書を採択するよう措置していただきたい」という趣旨の請願がだされました。自民党20名が紹介議員となりました。

「子どもと教育のために手をつなぐ会」では、すぐに、この請願を採択すべきでないという陳情を議会に提出し、7月7日には、双方の口頭陳情が教育・水道委員会で審議されました。

「手をつなぐ会」は、次の四点を主張しました。結果、日本会議の請願は採択されませんでした。

  1. 二社の教科書の歴史観は到底受け入れられず、義務教育用教科書としてふさわしくない
  2. 二社の教科書は誤字脱字、誤記などが数多く指摘されており不適格である
  3. 教育行政は首長から独立した教育委員会が責任を負っており、議会が特定の教科書を採択するよう働きかけることは、不当な介入である
  4. 教科書採択は、現場教師や父母市民の意見を尊重し、公正中立な意思決定を行うべきである

「手をつなぐ会」では、教育委員会に対して、二社の教科書を採択しないよう求める請願を出し、はじめて、口頭陳情も行いました。教科書採択に関する審議を全面公開させることができ、透明度を高める意味でも前進を勝ち取りました。

全国でまさかの採択

ところが、全国では、思わぬ事態が広がっています。

栃木県太田原市で育鵬社版歴史と公民、神奈川県藤沢市と横浜市で育鵬社版歴史と公民、大阪府東大阪市で育鵬社版公民、東京都立中高一貫校(10校すべて)で育鵬社版歴史と公民、都立特別支援学校で育鵬社版歴史と自由社版公民、神奈川県立平塚中等教育学校で育鵬社版歴史、東京都大田区と武蔵村山市で育鵬社版歴史と公民が採択されました。(8月23日まで)その後も、山口県岩国市、香川県の3採択区、沖縄県八重山でも採択のニュースが続いています。

現在、撤回のための運動が各地で取り組まれています。

子どもたちに「あぶない教科書」を手渡さないために

これら教科書の内容は、本当にひどいものです。自由社、育鵬社の教科書がまだ手に入らないため、その前身である扶桑社の歴史教科書の一部を紹介します。二社の教科書は、これを引き継ぎ、さらに競いあうように改悪しています。

神話に関する記述

太平洋戦争を美化

自由社の歴史では、神話の項で「アマテラス大神は太陽を神格化した女神で、日本の最高神であり、皇室の祖先とされている」と書いています。育鵬社の歴史で日本軍の東南アジア占領を「戦争初期のわが国の勝利は、東南アジアやインドの人々に独立への希望をあたえました。長く東南アジアを植民地として支配していた欧米諸国の軍隊は、開戦から半年で、ほとんどが日本軍の手によって破られました」とあからさまに戦争を美化しています。

さらに、日本国憲法について、育鵬社の歴史は、「GHQは、日本側の改正案を拒否し、自ら全面的な改正案を作成すると、これを受け入れるように日本側に強く迫りました。天皇の地位に影響が及ぶことをおそれた政府は、これを受け入れ・・・他国に例を見ない徹底した戦争放棄・・・この規定は・・・多くの論議を呼ぶことになりました」と憲法(特に九条)を敵視しています。

3・11の原発事故を受け、各教科書会社は、その危険性を強調していますが、この二つの教科書は、原発を礼賛し、危険性にほとんどふれていません。

これほど問題だらけの教科書が、検定を通り、採択され、これまでになく多くの子どもたちの手に渡る。背筋が寒くなる思いです。

日本政府が真摯に侵略戦争に対する反省を行っていないことが、教科書問題を引き起こす土台です。侵略戦争を事実として伝える重要性はますます大きくなっています。子どもたちに真実を伝えるために、国民的な運動を起こす必要があります。

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