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秋の共育集会

小中一貫連携教育に詳しい和光大学、現代人間学部教授の山本由美先生を迎えての北九州子どもと教育のために手をつなぐ会の学習会でした。

小中一貫教育があちこちであっという間に導入され、その本質について学習する機会を持ちたいと以前から考えていたので、今回の企画は私自身もかかわってきました。80分間、山本先生にしっかり話していただき、後半は県内の状況も出し合うシンポジウムとしました。私は、コーディネーターを務めさせていただきました。

施設一体型小中一貫校の特徴

山本先生は、学校統廃合について研究されているということで、歴史的には90年代から始まる「学校統廃合第3のピーク」の中で、「新自由主義的教育改革」がすすめられ、学校選択制から小中一貫教育による統廃合が急速に広がったと解明されました。

現在100以上にものぼる施設一体型小中一貫校の特徴として、4点が挙げられます。

  1. 統廃合の方途としてつくられた
  2. 小学校段階からの選別・競争の導入、中学校文化の前倒し
  3. 教育内容の弾力化により、小学校1年生からの英語教育や地域教科などの導入(財界の教育要求の実現)
  4. 学校建設、地域再開発の拠点としての施設一体型小中一貫校(オープンスペース型校舎など似通った設計、PFIの活用など)

小中一貫校は、1998年に中高一貫校が中等教育学校として法制化され、すべての中学校を中高一貫校へとの法案準備がされ、高校無償化の動きが出てくる中で、財界がこれに反発し、高校を切り離し、「義務教育学校」を提起(1999年)したことが導入のきっかけとなりました。

2000年には、広島県呉市で、3小1中の統廃合の方途として小中一貫校が登場。文科省の「研究開発学校」となり、小中一貫カリキュラム、4・3・2制が取り入れられます。「中1ギャップ」問題も登場します。

02年から04年には、教育特区で先行的に拡大していきます。品川区、京都市、奈良市などで財界の要求を取り入れたカリキュラムづくり、中学校文化の前倒し(小学校5年生から、中間・期末テスト、制服の強制など)などが進みます。

さらに08年には、学習指導要領の規制緩和が行われ、特区を使わなくても導入が可能になります。09年に大都市が次々と全市導入を公表するなどひろがるが、一方で反対運動も取り組まれるようになったとのことです。

教職員と子どもへの影響

全国モデルの三鷹市における小中一貫校についての教職員アンケートでは、85%が批判的な回答を寄せています。理由は、次のようになっています。

  1. 教師の多忙化
  2. 子どもへの負担
  3. 市長によるトップダウンで現場の声を聞かない

では、小中一貫校は、子どもにとってはどうなのでしょう。

いくつかの問題を指摘されていますが、特に問題なのは、5・6年生が、小学校のリーダーとして成長する時期が奪われ、人間としての発達に悪影響を及ぼしていると考えられることです。

行政が必ず持ち出す「中1ギャップの解消」には教育的根拠はないこと、むしろ、中学に対する不安は、子どもの発達につながる研究成果も披露されました。

さらに、全区で小中一貫を導入している品川区で2012年に3人の子どもが自殺していること、各地で教師の過労、病休や自殺などの問題が起こっていることが指摘されました。

福岡県内で先行的に導入した宗像市でも、研究発表会を前後して教師の病休が増えているという実態があります。品川区では、不登校児も減るどころか、逆に増えており、その増加率も東京23区中で最も高くなっています。

教師の多忙化に拍車をかけているのが、中学校の先生が小学校で教え、小学校の先生も中学で教えるという「相互乗り入れ」を取り入れていることです。

小学校で専科教員を配置せず、中学校教師を兼務させようとするものですが、これは、ただでさえ忙しい学校現場をさらに複雑に忙しくして、しかも、子どもとの時間を奪ってしまいます。行き届いた教育と逆行するわけです。

小中一貫校において、不登校が増えたり、自殺が起こっている背景に、こうした多忙化があるのではないかという気がしてなりません。

行き届いた教育のために

やはり、行き届いた教育のためには、1クラスの人数を少なくし、子どもとしっかりかかわれる環境をつくることだと思います。

30人学級と教育条件整備こそ行われなければなりません。小規模校はむしろ、行き届いた教育の可能性をもっています。

経済効率を優先し学校をつぶしながら、子どもたちに学力競争を押し付け、学校も教師も子どもも疲弊させる小中一貫校について、さらに学習と監視を強め、子どもを守る立場から、声をあげなければ、と強く感じました。

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