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「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」の問題点を指摘し、反対討論を行いました。資料とともにご覧ください。


反対討論

日本共産党の高瀬菜穂子です。第201号議案「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略の策定について」に対する反対討論を行います。

反対の第一の理由は、県人口の将来展望について、希望出生率1.8を目標としながら、目標実現のための具体的根拠を欠いているという点です。本ビジョンは最悪のケースでも25年後の2040年に出生率1.8が実現するという想定ですが、国立社会保障・人口問題研究所は「出生率は長期的に1.35で推移する」と予測しています。これを覆して出生率を上げるには、賃金・雇用・社会保障・男女共同参画など、将来に希望のもてる社会経済に大転換する必要がありますが、骨子には何の裏付けもありません。過大な推計に基づく「人口ビジョン」は総合戦略全体に影響を与える大問題です。

第二の理由は、「小さな拠点づくり」「集約型都市づくり」の名による地域切り捨てです。本ビジョンには「住民に必要な生活・福祉サービスを一定のエリア内に集める『小さな拠点』づくりを市町村と連携して進める。居住機能や福祉、医療、商業等の都市機能の誘導により、集約型の都市づくりを推進する。」と明記しています。「地域人口の維持」のために何をすべきか、という中心課題を脇に置き、「市街地のコンパクト化・縮小」を地域政策の優先課題とする考え方は、単なる地域リストラ政策であり、地域振興にとって有害であると指摘せざるを得ません。集落の統合は、共同意識が失われ、より利便性の高い都市部への転出に繋がる可能性があります。市街地のコンパクト化、縮小よりも地域に人口を維持する方策を考えていくことが重要です。

過大な推計と地域リストラ方針を含んだ「人口ビジョン」に、本県議会が「お墨付き」を与えることは、将来に禍根を残すと指摘し、反対討論とします。

参考資料―福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略(骨子)の問題点

1. 県人口の将来展望が根拠なく楽観的である

県は将来人口を展望するにあたっての前提条件(3頁)として、最も人口減が進む「ケース3」の場合で、2040年(25年後)に出生率1.8が実現すると予測している。

しかし、2015年6月1日に厚生労働省が発表した2014年の合計特殊出生率(人口動態統計)は1.42、女性が第1子を産む平均年齢は30.6歳となり、晩婚・晩産が一段と進んだ。出生数は100万人割れ目前。出生率が14年まで3年連続で1.4を超えたのは780万人いる「団塊ジュニア」の出産が押し上げた面が大きい。この世代の出産がピークを越え、今後はゆるやかな低下傾向をたどる可能性がある。

国立社会保障・人口問題研究所は「出生率は長期的に1.35で推移する」と予測している。25年後に出生率1.8が実現するという前提の推計は全く根拠がない。

過大な推計に基づく「人口ビジョン」を議会が議決して「お墨付き」を与えることは将来に禍根を残す。

2. 小さな拠点づくり・集約型都市づくりの「逆立ち」した危険性

県は「基本目標4 誰もが住み慣れた地域で暮らしていける安全・安心で活力ある地域をつくる」の項のなかで、住民に必要な生活・福祉サービスを一定のエリア内に集める『小さな拠点』づくりを市町村と連携して進める。居住機能や福祉、医療、商業等の都市機能の誘導により、集約型の都市づくりを推進する。と明記している。

「地域人口の維持」のために何をすべきか、という中心課題を脇に置き、「市街地のコンパクト化・縮小」を人口・地域政策の優先事項とする考え方は、単なる地域リストラ政策であり、地域振興にとって有害である。

3. 地域振興コンセプトに関する中山徹氏(奈良女子大学教授)の提言

1つは、人口流出の主な理由は地方に安定した就労先がないこと。これまでは工場の地方移転、公共事業で雇用を確保してきたが、今後は第1次産業と社会保障分野で地方に雇用を確保していくこと。この分野は政策によって拡大することが可能である。

2つ目は、人口減少等によって生み出されるゆとりを活用して災害に強い国土、まちをつくること。

3つ目は、自然災害に対する脆弱性を克服し、自然・生活・教育環境を整え、都市の格、質を高め、大都市圏の国際化を進めること。

4つ目は、市街地のコンパクト化、縮小よりも地域に人口を維持する方策を考えていくこと。集落の統合は、共同意識が失われ、より利便性の高い都市部への転出に繋がる可能性がある。

5つ目は、「国土のグランドデザイン2050」では、三大都市圏のインパクトを地方拠点都市に、地方都市のインパクトを農山村に波及させ、「小さな拠点」と周辺集落をネットワークで結ぶとしているが、これはトリクルダウン理論の地域版である。地域の活性化を進めていくには、この理論を乗り越え、インパクトの波及を小規模から大規模に転換していく国土計画づくりが必要である(雑誌「経済」2014年11月号、新日本出版社)。

参考資料―福岡県人口ビジョン・地方創生総合計画(骨子)

福岡県人口ビジョン(骨子)PDFファイル612キロバイト
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