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施設一体型の小中一貫校の教育的効果、メリット・デメリットについて

先般、学校教育法が改正され、現行の小・中学校に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」が新たな学校種として来年度から制度化されることとなりました。しかし法制化以前から、一貫校は既に動き出しており、その問題点も指摘されてきております。

小中一貫校には、連携型や施設一体型、学年の区切りも、「6・3」,「4・3・2」、「4・5」などバラバラで進められておりまして、これほど統一性を欠いたまま推進していいのかと、私は危惧してきたところですが、きょうは施設一体型小中一貫校に限ってお尋ねしたいと思います。県内の実態、今後の計画、県としての設置の方針があればお答えください。

― 県内には宗像市に2校、飯塚市、田川市、八女市、東峰村、赤村にそれぞれ1校に計7校ございます。なお、今後の計画は、県教育委員会としては把握しておりません。また現在、県教育委員会として、小中一貫教育の実施についての統一的な方針を作成する予定はありません。

現在7校で、県としての設置方針はなく、市町村の判断であるということだと思います。学校の設置については市町村の判断だと思いますが、教育全般については県がしっかり責任を持っていただきたいと思いますので、そのことは指摘させていただきます。では、施設一体型の小中一貫校の教育的効果、メリット・デメリットについて県の認識をお答えください。

― 文部科学省の実態調査によりますと、県内の施設一体型小中一貫校の教育におきましては、その全校で、いわゆる「中1ギャップ」の緩和、中学校への進学に不安を覚える児童の減少、及び教員の指導方法の改善意欲の高まりを成果として挙げている一方で、7割以上の学校で、小中学校の教職員間での打ち合わせ時間の確保や、合同の研修時間の確保に課題があるとされております。

わたくしも、いくつかの小中一貫校をおたずねして、直接伺いましたが、教職員間の打ち合わせ時間の確保が難しく、多忙になるということは一つの特徴であると思いました。中学校の先生が、小学校の専科教員として授業を行う、また、小学校の先生がティームティーチングなどで中学校に行くなどの「乗り入れ」の場合、時間割を作ること自体が煩雑で難しく、誰がどのクラスに行き、どの教室を使うかなどの連絡が各学年1クラスの小規模校であっても大変だということでした。大規模校になれば、なおさら先生方が走り回っている状況だと聞いています。

「中1ギャップの解消」は小中一貫校の目玉のように言われています。確かに、6年1組の隣に7年1組があり、一つの学校ですから、それまでと変わらず、その意味ではギャップはなくなっています。

しかし、中学生に上がるという不安とともに緊張もなくなってしまうことや、6年生が最高学年としてさまざまな活動で中心となって達成感を味わう、その大事な育ちの時期が奪われているとの研究結果もあります。

全区を小中一貫とした品川区では7年生でいじめ自殺事件が続けて起こり、報告書が出ていますが、単に小中をくっつければ、さまざまな教育問題が解決するわけではない、新たな問題も生まれることを示しています。さらには、いくつもの学校が統廃合して大規模校になった場合には、バス通学に伴う問題や運動場を一斉に使うことができない、そのため部活をやる日と小学生が遊ぶ日を交互にしているとか、体育大会の全学年参加の玉送りで、1年生から9年生まで並ぶのに1時間もかかったなど、教育的にどうかという問題も起こっています。

小中一貫校は、教育的効果を十分に検証されることなく導入され義務教育学校として法制化されるということになります。さまざまな角度からの検証と情報の共有と対応が必要だと考えます。県教委の見解をお答えください。

― 文部科学省の調査結果などを基に、小中一貫教育校の実態をさらに調査していくことが、まず必要であると考えています。また、小中一貫教育に関連する県の重点課題研究もいくつかございますので、それらを基に成果と課題などを検証し、市町村教育委員会に対してその情報提供をおこなってまいりたいと考えております。

学校統廃合はまちづくりの観点からの慎重な検討が必要ではないか

ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。小中一貫校が大規模な統廃合を伴う場合、まちづくりにも大きな影響があります。今、香春町で、4つの小学校と2つの中学校を、1つの学校に小中一貫校を視野に統廃合をする計画が進んでおり、住民からは不安の声も上がっております。直接、町の教育長からお話を伺いましたが、この計画は「行政改革大綱」の提起で始まったとのことでした。学校6校が1校になれば、確かに先生の数、学校の維持経費は削減できるかもしれません。しかし学校の在り方、規模の適正化はあくまでも、児童生徒の教育的観点から検討されるべきだと考えます。合わせて、学校はコミュニティーの核であり、防災、地域の交流の場としての機能を持っていることから、まちづくりの観点からの慎重な検討が必要だと考えますが、県の見解を、お答えください。

― 小中学校の統合の検討は、設置者であります市町村が主体的に行うべきものでありますけれども、その検討にあたっては単に行政改革の視点からというだけでなく、教育の機会均等や教育水準の維持向上の観点を踏まえて、学校の規模の適正化や地理的条件など、それぞれの学校や地域が置かれているさまざまな状況を勘案して行われるものであると考えております。

少子化の中で、学校規模が小さくなり、小規模校解消のための統廃合が課題となって、文科省も、本年1月に、学校の適正規模等を示す新たな「手引(公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引 平成27年1月27日)」を作成しました。この手引きには、小規模校を存続する場合の教育の充実についても詳しく言及があります。県教委はこれまで、小規模、へき地校における教育について研究を長年すすめてきております。小規模・へき地校での教育については、どのような認識をもっておられるでしょうか。

― へき地・小規模校におきましては、児童生徒の学習状況を的確に把握でき、きめ細かな指導が行いやすい、意見や感想を発表できる機会が多くなる、といった特性がございます。また、豊かな自然条件や地域の伝統芸能などの教育資源を生かして、地域への誇りと愛着の心をはぐくむ環境にも恵まれていると考えております。

― 一方、児童・生徒の人間関係が固定化しやすい、児童生徒どうしが切磋琢磨しづらい、球技や合唱、部活動等の集団的な活動に制約が生じるなどの課題もあると認識しております。

小規模校を残すという判断を市町村が行った場合の支援などについて

私は、中学教師時代に複式の小学校からの生徒を受け入れた経験がありますが、大変豊かな教育と地域の活動のなかで育っていました。中学校に複式から、全校児童は10人以下だったと思いますが、複式からきた生徒が「先生、中学校は理科の実験道具、班に一つしかないんやね。小学校の時はなんでも一人に一つやった。顕微鏡で畑や川に行ってあらゆるものを見たよ。それを新聞にして楽しかった。」というふうに話してくれたのを今も印象深く覚えています。本当に豊かな自然の中で、よく遊びよく学んだ。この小学校時代というのが、これらの生徒にとって、本当に大切な宝物のようになっています。この生徒は、考古学の研究者となり、東大大学院から今はギリシャで研究者として活動しています。福岡県には、へき地・小規模教育の豊かな蓄積がありますので、その成果を是非、広げてほしいと思います。もちろんデメリット、小さければできないことがありますが、それを補うような活動というのは、いまのICTなどを使うなどすれば、工夫できる部分もたくさんあるかと思います。

学校規模の適正化、統廃合などの判断は、設置者である市町村が判断すべきですが、県としても基準やガイドライン、手引き等の策定、フォーラム等の場の設定など、情報提供機能の強化、特に、小規模校を残すという判断を市町村が行った場合の支援などについて、「手引」には詳しく書かれています。県として、現在どのような取り組みを行っているのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、お示しください。

― 県教育委員会におきましては、市町村が主体的に統合の要否を判断できるように、統合をおこなった取組事例の紹介や統合の際に活用できる支援制度の情報提供をおこなうとともに、あわせて、へき地や小規模校における教育の充実に関する情報提供や学校経営等への指導・助言などをおこなっております。

― また、複数学校間での事務の共同実施や特色あるカリキュラムの編成などについての助言など、文部科学省の手引に示されております取組もおこなっているところでございます。

― 今後とも市町村における主体的な検討に資することができるように、引き続き適切な指導・助言、あるいは情報提供に努めたいと考えております。

統廃合の是非が問われた裁判、1976年6月名古屋高裁判決は、「統廃合で徒歩通学の機会が失われることにより『人格形成上、教育のよき諸条件を失う』」と、徒歩通学が子どもの人格形成に果たす役割、地域の人々や自然のとのふれあいの重要性を示して、廃校処分の取り消しを認めたことがありました。徒歩通学が子どもの人格形成に果たす役割大きいという、この観点は、今につながる重要なものと考えます。また、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく総合戦略においても、学校のまちづくりに果たす役割は極めて大きいと考えるものです。

小中一貫校設置のガイドライン策定、小規模校を残すという判断を市町村が行った場合の支援に関する教育長の決意は

最後に教育長に伺います。全国的に小中一貫校が、大規模な学校統廃合を伴ってすすめられていることを危惧しております。

小中一貫校は、法制化の前に、さまざまな形で実施されており、その教育効果や課題については研究・検証が必要です。一方、少子化の中で、小規模校をどうするかという問題も、各地で起こっております。県としてガイドラインを作るなどの取り組みをすすめていただくと共に、小規模校を残す判断を市町村がされた場合、教職員の加配や、教育研究の共同化など、文科省の手引きを実践する形ですすめていただきたいと思います。教育長の決意を伺います。

― 学校の統廃合でございますけれども、学校は地域コミュニティの核というような性格も持っております。従いまして、小規模化した小中学校の統合を行うか、あるいは小規模校として存続させるか等についきましては、設置者である市町村が地域の実情、あるいは地域住民の方々の意向を十分に踏まえて判断するということが大切であろうと思っております。県教育委員会としましては、今回の国の手引のなかに統廃合を行うかどうかを判断する際の考え方、あるいは留意点、さらには小規模校の学校を残す場合の配慮事項等につきまして、詳しい記載がなされておりますので、この手引を活用しながら、市町村の求めに応じて、少子化時代に対応した学校づくりについて指導・助言をおこなってまいりたいと考えております。

島根県邑南(こうなん)町は、人口12000人の小さな町ですが、子育て日本一を掲げ、保育所9箇所、小学校8校、中学校3校をすべて残すと町長が宣言しているそうです。そしてさまざまな行き届いた支援を続けています。こうした中で、若い世代が移住してきているとも聞いています。こうした選択もできるわけで、そうした場合に、県教委の支援をしっかり行っていただくよう再度強調し、質問を終わります。

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